セキュリティ編・番外編
代表的な製品
ひとことで言うと
製品名は、どの仕組みの製品なのかに置き換えて覚えます。名前を覚える必要は、ありません。
解説(テキスト版)
はじめに

ベンダーから届いた提案書を開くと、アルファベットの製品名がずらりと並んでいます。名前だけでは、何をするものなのか、分かりません。
上司からは、ゼロトラストなら、あれを入れればいいんですよね、と聞かれます。でも、あれ、が何を守る製品なのかが分からないと、答えられません。
今日は、セキュリティ編の番外編として、代表的な製品を11個、紹介します。製品の名前ではなく、どの仕組みの製品なのかで見ていきます。
先におことわり

先に、おことわりです。今日の紹介は、代表的な例です。どの製品も、おすすめしているわけではありません。
各社の公式サイトに書かれている、その製品の位置づけだけをお話しします。機能の細かい違いや、価格、性能の比べ合いはしません。
詳しい機能や価格は、各社に資料請求をして、確かめてください。選ぶときは、要件と、自分の団体の構成で比べます。そのための見方を、今日はお伝えします。
一言で言うと

一言で言うと、製品名は、どの仕組みの製品なのかに置き換えて覚えます。名前を覚える必要は、ありません。
ファイアウォールなのか、ZTNAなのか、IDaaSなのか、EDRなのか。この呼び名が分かれば、提案書の製品名は、ほとんど読めるようになります。
そして、1つの製品が、複数の仕組みを持っていることも多い。ここが、一番まぎらわしいところです。
5つの問いのおさらい

第0回の、5つの問いのおさらいです。誰が使うのか。どの端末なのか。どこを通るのか。何をしているのか。そして、土台です。
誰が、はIDaaS。どの端末、はデバイス証明書とEDR。どこを通る、はZTNAとSWG。何をしている、はCASBとDLP。土台は、ファイアウォールでした。
守る場所の図のおさらい

もう一つの見方が、守る場所の図です。端末、ネットワークの通り道、そして、サーバーやクラウドサービスの3つに分けます。
今日の製品は、この図のどこにあたるのかを、1つずつ言います。図に置いてみると、どの製品が何を守るのかが、見えてきます。
土台と境界:FortiGate、A10 Thunder

最初は、土台と境界です。守る場所の図でいうと、ネットワークの通り道のうち、庁内と外の境目のあたりです。第1回でお話しした、ファイアウォールの仲間です。
FortiGateは、フォーティネット社が、次世代ファイアウォールとして案内している製品です。公式のページでは、ZTNAの機能を内蔵していることや、SD-WANと統合できることも説明されています。
A10 Thunderは、A10ネットワークス社の製品群です。Thunder CFWは、ファイアウォールに加えて、IPsec VPNや、負荷分散などを1つにまとめた製品として案内されています。
つまり、どちらも土台のファイアウォールを中心に、ほかの仕組みも持っています。境界に置くのが基本ですが、持っている機能の範囲は、製品や契約によって違います。
通り道をクラウドで:Prisma Access、Umbrella、Zscaler

次は、通り道を、クラウドで引き受ける製品です。守る場所の図でいうと、端末と、クラウドサービスの間の、通り道のあたりです。第4回のZTNA、第5回のSWG、第6回でお話ししたSASEにあたります。
Prisma Accessは、パロアルトネットワークス社の製品です。公式のページでは、クラウドから提供する、1つの仕組みとして案内され、ZTNA、SWG、CASBの機能が並んでいます。資料を見る限り、第6回でお話ししたSASEにあたる製品、といったところです。
Cisco Umbrellaは、シスコ社の製品です。シスコは、Umbrellaを、SSE、つまり、通り道の守りをクラウドで届ける製品群、Cisco Secure Accessの一部として案内しています。
Zscalerは、Zero Trust Exchangeというプラットフォームの名前で案内されています。インターネットの利用を守る製品と、VPNを使わずに業務システムへつなぐ製品があります。資料を見る限り、それぞれSWGとZTNAにあたる製品、といったところです。
この3つは、どれも、複数の仕組みをまとめて、クラウドから届ける形です。1つ1つの仕組みの名前より、全体としてSASEやSSEと呼ばれている、と覚えておくと読みやすくなります。
自治体向けの位置づけ:Allied SecureWAN

もう1つ、通り道をクラウドで引き受ける製品を紹介します。Allied SecureWANは、アライドテレシス社が、SASEとして案内しているサービスです。
公式のページでは、クラウド型のUTMと、拠点間やインターネットへの接続を、統合した形で提供する、と説明されています。第1回のファイアウォールと、第6回のSASEの、両方にまたがります。
自治体向けには、三層分離のαモデルを保ったまま、特定のクラウドへ、ローカルブレイクアウトでつなぐ、α´モデルの構成として案内されています。第5回の話に、そのままつながる製品です。
人と端末を確かめる:Google、Soliton OneGate、HENNGE One

次は、人と端末を確かめる製品です。5つの問いでいうと、誰が使うのか、と、どの端末なのか。第3回でお話ししたIDaaSと、第2回のゼロトラストの考え方に近い部分です。
一つ目は、グーグルのChrome Enterprise Premiumです。グーグルが、BeyondCorpと呼ぶ、ゼロトラストの考え方にもとづく製品です。
VPNを使わずに、人と端末の状態を確かめてから、業務システムへのアクセスを許可します。資料を見る限り、第4回でお話ししたZTNAにあたる製品、といったところです。
Soliton OneGateは、ソリトンシステムズ社が、国産のIDaaSとして案内している製品です。多要素認証と、端末にデータを残さないデータレス型のDLPを、特徴として挙げています。
HENNGE Oneは、HENNGE社が、クラウドセキュリティサービスとして案内している製品です。3つのエディションがあり、ID管理のIdentity Editionのほかに、メール誤送信対策などを扱うDLP Editionもあります。
端末の中:CrowdStrike、Microsoft Defender

最後は、端末の中です。守る場所の図でいうと、端末のあたり。第7回でお話しした、EPPとEDRにあたる製品です。
CrowdStrike Falconは、クラウドストライク社のプラットフォームです。公式のページでは、EPPとEDRを、1つの軽いセンサーで提供する、と説明されています。
Microsoft Defender for Endpointは、マイクロソフト社の製品です。クラウド型のエンドポイントセキュリティとして案内され、端末の保護と、EDRの機能を、あわせて挙げています。
どちらも、端末に入れて、怪しい動きを見張る製品です。端末の中の話なので、ネットワークの製品とは、守る場所が違います。
製品を見るときの考え方

ここまで見てきたとおり、1つの製品が、複数の仕組みを持っていることは、普通にあります。まず、その製品が、どの仕組みを中心にしているのかを見ます。
次に、製品を並べたときの、重なりと、抜けを見ます。同じ場所を二重に守っていないか。逆に、どの問いにも答えていない場所はないか。
そして、三層分離のどの層で使うのかを確かめます。マイナンバー利用事務系、LGWAN接続系、インターネット接続系。層によって、使える製品も、つなぎ方も変わります。
よくある誤解

よくある誤解を3つ。1つ目、この製品を入れれば、ゼロトラストになる。ゼロトラストは、確かめ続ける考え方であって、製品の名前ではありません。
2つ目、有名な製品なら、うちの団体でも合う。団体の構成や、三層のどこで使うかで、合うかどうかは変わります。公式の位置づけと、自分の要件を照らし合わせてください。
3つ目、新しい製品を入れたから、古い仕組みはいらない。土台のファイアウォールも、端末の守りも、まだ必要です。入れ替えるのか、足すのかを、先に決めておきます。
最初に確かめること

最初に確かめることを、3つ。1つ目、庁内で使っている製品の一覧を作り、守る場所の図に書き込んでください。端末、通り道、サーバーやクラウドの、どこにあたるかを書きます。
2つ目、それぞれの製品が、公式に、何を目的とした製品と案内されているかを確かめます。担当者の記憶ではなく、公式のページや、契約書で確認します。
3つ目、5つの問いのうち、どの問いに答える製品が、まだないのかを探します。空いている問いが、次に検討するところです。
最後に

今日の製品は、あくまで代表例です。ほかにも、同じ仕組みの製品はたくさんあります。名前を覚えるより、どの仕組みの製品なのかを見分けられるようになってください。
詳しい機能や、価格、自治体での使い方は、各社に資料請求をして確かめてください。今日の内容は、公式の情報をもとにした、概要の紹介です。
提案書の製品名を見たら、この製品は、図のどこを守るのか、5つの問いの、どれに答えるのか、と考えてみてください。
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