文字コード編・第5回
調達と運用で気を付けること
ひとことで言うと
文字は、どのシステムで使うのかで、扱いを決めます。標準化の対象のシステムは、国の標準仕様に任せます。対象ではないシステムは、広く使われている字に置き換えて受け取り、そのやり方を、仕様書に書いておきます。
動画で紹介したもの
異動してきたら、最初に確かめること
チェックは、このスマートフォンのブラウザに保存されます。
解説(テキスト版)
はじめに

情シスには、こんな相談が届きます。新しいウェブのシステムを入れるけれど、住民の名前の字は、どうすればいいのか、と聞かれる。
あるいは、事業者から、MJ文字のフォントは必要ですか、と聞かれる。
どちらも、文字の調達と運用の話です。文字コード編の最終回、第5回は、調達と運用で気を付けることと、文字コード編のまとめをお話しします。
一言で言うと

先に、一言でまとめます。文字は、どのシステムで使うのかで、扱いを決めます。
標準化の対象のシステムは、国の標準仕様に任せます。対象ではないシステムは、広く使われている字に置き換えて受け取り、そのやり方を、仕様書に書いておきます。
使うシステム、使わないシステム

まず、行政事務標準文字を、どのシステムで使うのかを整理します。
行政事務標準文字を使うことが原則とされているのは、標準化の対象になっている、20の業務のシステムです。住民基本台帳や、税、福祉などのシステムです。これらは、国の標準仕様に合わせた製品なので、文字の対応も、その中に含まれています。
一方で、ウェブのシステムや、電子申請、グループウェアなどは、対象ではありません。形の違いを表す字や、追加のおよそ1万字は、専用のフォントがないと表示できないので、こうしたシステムで使うのは、現実的ではありません。
フォント

では、ウェブのシステムに、MJ文字のフォントは要るのでしょうか。
要りません。住民や職員の端末のブラウザが表示できるのは、ふだん入っているフォントで出る字までです。目安は、JIS X 0213という規格の範囲の字です。
MJ文字のフォントを、ウェブで配る方法もありますが、およそ6万字分あって、ファイルがとても大きくなります。ふつうのシステムでは、現実的ではありません。
字の形まで正確に出す必要がある、証明書などは、対応したフォントを持つ、基幹システムの側で出します。ウェブのシステムは、広く使われている字で表示します。この役割分担が現実的です。
基幹システムから受け取るとき

大事なのは、基幹システムから、住民の名前などを受け取るときです。デジタル庁は、行政事務標準文字を、広く使われている字に置き換えるための、対応表を用意する方針を示しています。
受け取る側のシステムを調達するときは、受け取った字を、どちらの側で、何を使って置き換えるのかを決めます。
そして、置き換えられない字が出てきたら、どうするのか。エラーにするのか、決めた記号にするのか、一覧にして報告してもらうのかも、決めておきます。
仕様書に書くこと

ここまでを、調達の仕様書に書くこととして、まとめます。
一つ目は、文字コードと、BOMの有無と、改行コードです。第2回でお話ししたとおり、基本は、UTF-8です。
二つ目は、受け取る字の置き換えです。どちらの側で、何を使って置き換えるのか。置き換えられない字を、どうするのかです。
三つ目は、外字や、特別なフォントを前提にしないことです。外字のファイルを配らないと動かないシステムは、これからは選ばないようにします。
置き換えた字は、戻せない

連携で、もう一つ気を付けたいことがあります。置き換えた字は、元の字には戻せない、ということです。
たとえば、はしごだかの「髙」を、ふつうの「高」に置き換えて受け取ると、受け取った側では、もとがどちらだったのかが分かりません。
そのため、システムの間でデータを突き合わせるときは、名前ではなく、宛名番号などの番号を使います。名前で突き合わせると、同じ人が、別の人として扱われることがあります。
運用で気を付けること

次は、運用で気を付けることです。
基本は、新しい外字を作らないことです。外字を作るたびに、第3回でお話しした問題が、また始まってしまいます。
とはいえ、行政事務標準文字にない字を、どうしても扱わなければならない場面は、ありえます。そのときに、誰が判断して、どう扱うのか。標準にない文字の取り扱いを、事前に決めておいてください。
パソコンの入れ替えの手順や、窓口での説明の文言も、標準化のあとの形に合わせて、見直しておきます。
現場でよくある誤解

現場でよくある誤解を、3つ挙げます。
一つ目。ウェブのシステムでも、MJ文字のフォントを入れなければならない、という誤解です。その決まりはありません。広く使われている字で表示し、字の形まで正確に出す必要があるものは、基幹システムの側で出します。
二つ目。UTF-8で受け取れば、どんな字も、そのまま出せる、という誤解です。UTF-8でも、表示するにはフォントが要ります。空いている番号の字や、形の違いを表す字は、ふつうのフォントでは出ません。
三つ目。名前が一致すれば、同じ人だ、という誤解です。置き換えや、字の形の違いで、ずれることがあります。突き合わせは、番号で行います。
異動してきたら最初に確かめること

では、異動してきたら、まず何を確かめればいいでしょうか。
一つ目。基幹システムから、名前などを受け取っているシステムの一覧です。どこで、何を使って、字を置き換えているかを確かめます。
二つ目。連携や調達の仕様書です。文字コード、字の置き換え、置き換えられない字の扱いが、書かれているかを見ます。
三つ目。標準にない字の扱いの決まりです。決まっていなければ、関係する課と相談して、決めてください。
文字コードのまとめ

最後に、文字コード編のまとめです。まずは、文字コードです。
文字は、番号で保存されています。どの文字に、どの番号を割り当てるかの決まりが、文字コードです。書いた側と読んだ側で、文字コードが違うと、文字化けが起こります。
文字コードには、日本基準のShift_JISと、世界基準のUTF-8があります。今の基本は、UTF-8です。データをやり取りするときは、文字コードと、BOMと、改行コードを、先に決めておきます。
外字のまとめ

次は、外字です。
外字は、団体ごとに、空いている番号に作った字です。団体ごとにばらばらなので、ほかへ渡すと化けます。標準化で、行政事務標準文字に統一されます。
行政事務標準文字には、空いている番号を使わないものと、使うものがあります。ほとんどは、Unicodeの番号と、形の違いを表すIVSで表します。空いている番号を使うのは、追加のおよそ1万字だけで、その番号は、全国共通です。
使い分けは、こうです。標準化の対象の業務で、証明書や通知などの帳票を出すときは、行政事務標準文字で、字の形まで、しっかり出します。
ウェブのシステムなどでは、ふだんのフォントで出る範囲の字で、許容します。そのために、基幹システムから受け取る字を、どこで、どう置き換えるのかを、決めておきます。
文字コード編のふり返り

全5回を、ふり返ります。第1回は、文字化けが起こる仕組み。第2回は、文字コードの種類。第3回は、外字とは何か、でした。
第4回は、外字の取り扱いと、文字の標準化。そして今日が、調達と運用で気を付けることでした。
最後に

文字は、人の名前や、住所そのものです。一つの字の違いが、住民の方にとっては、大きな違いになります。
迷ったときは、どの文字コードで書いて、どの文字コードで読むのか、そして、その字は文字コードにあるのか、に戻ってください。
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