ネットワーク編・第6回
住基ネットと中間サーバー
ひとことで言うと
住基ネットは、本人かどうかを確かめるための、名前や住所などの情報を、全国で共有する仕組みです。
異動してきたら、最初に確かめること
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解説(テキスト版)
はじめに

情シスには、こんな相談が届きます。転入の手続きで、前の住所地の情報は、どうやって届くのか。
児童手当の手続きで、ほかの自治体の情報を確かめたい。マイナンバーを扱う端末を、あと数台増やしたい。
制度改正に合わせたシステム改修の連絡が、国から来た。どれも、住基ネットか、中間サーバーに関わる話です。
私も最初は、この2つの違いが、よく分かりませんでした。今日は、この2つを、整理します。
一言で言うと

先に、一言でまとめておきます。住基ネットは、本人かどうかを確かめるための、名前や住所などの情報を、全国で共有する仕組みです。
中間サーバーは、手続きに必要な情報を、ほかの自治体や国の機関と、照会したり提供したりするための、窓口です。
どちらも、マイナンバーを扱う仕事に関わりますが、目的も、運び方も別のものです。
地図のどこか

第0回の全体地図でいうと、今日は、一番左の、マイナンバー利用事務系の話です。
住民記録や税など、マイナンバーを扱う仕事のシステムが入っている層です。その層から、外へ伸びる線が2本あります。
1本は、住基ネットへ。もう1本は、中間サーバーを通って、ほかの自治体や国の機関へ。この2本の線を、順に見ていきます。
このほかにも、マイナンバー利用事務系から、別のところへつながる線があります。たとえば、戸籍の副本を、毎日、法務省の戸籍副本データ管理センターに送る線です。
また、団体や業務によっては、LGWAN-ASPのサービスに、つなぐ場合もあります。どんな線があるのかは、自分の団体の構成図で確かめてください。今日は、住基ネットと中間サーバーの、2つの線に絞って話します。
住基ネット

まず、住基ネットです。正式には、住民基本台帳ネットワークシステム。全国の住民基本台帳を、ネットワークでつないで、全国共通の本人確認ができるようにした仕組みです。
2002年8月に、運用が始まりました。運営の中心は、J-LIS、地方公共団体情報システム機構です。
流れは3段階です。市町村が、住民の本人確認情報を、都道府県に送ります。都道府県は、それをJ-LISに送ります。
本人確認情報とは、氏名、住所、生年月日、性別の4つの情報と、マイナンバー、住民票コード、そして、それらの変更の情報です。
この情報を、どの機関に、どの事務で提供してよいかは、法律や条例で決まっています。何でも見られるわけではありません。
身近な場面では、転入の手続きがあります。転入先の市町村から、転出元の市町村に連絡する通知などが、住基ネットを通ってやり取りされます。
市役所の側には、住民記録のシステムと住基ネットの間に立つ、専用のサーバーがあり、ファイアウォールで守られています。
中間サーバーと情報連携

次に、中間サーバーです。こちらは、マイナンバー制度の、情報連携のための仕組みです。
たとえば、児童手当や、国民健康保険の手続き。以前は、住民が、ほかの役所の証明書を取って、窓口に持ってきていました。
いまは、役所どうしが、国の情報提供ネットワークシステムを通じて、必要な情報を照会し合います。住民の持ち込む書類が、減りました。
中間サーバーは、そのとき、自治体の既存のシステムと、情報提供ネットワークシステムの間に立ちます。
手続きに必要な情報の副本、つまりコピーを、中間サーバーに置いておきます。照会が来たら、そこから答えます。
こうすると、照会が増えても、住民記録や税のシステム本体には、影響が出にくくなります。国の資料でも、安全性と費用の面から、この形が適当とされました。
中間サーバーは、各自治体で1台ずつ作るのではなく、J-LISが全国2か所に用意した、中間サーバー・プラットフォームを、共同で使う形が基本です。
符号と、分散管理

ここで、よくある誤解を一つ。マイナンバーを使えば、国が、全員の情報を、1か所で管理している、と思われがちです。
実際は、違います。税の情報は税の部署、年金の情報は年金の機関と、情報は、もともとの機関が、それぞれ持ったままです。これを、分散管理と言います。
必要なときだけ、情報提供ネットワークシステムを通じて、やり取りします。その際、マイナンバーそのものは、使いません。
代わりに使うのが、符号です。情報提供ネットワークシステムが払い出す、機関ごとに異なる、見えない番号で、機関ごとの符号を、ネットワーク側でひも付けます。
中間サーバーも、マイナンバーを持ちません。持っているのは、団体内統合宛名番号と、符号です。
この符号の元になる住民票コードを、情報提供ネットワークシステムに渡す役目は、住基ネット側にあります。ここで、2つの仕組みがつながっています。
違いを整理する

ここまでを、並べて整理します。住基ネットは、本人確認の情報を、市町村、都道府県、J-LISの順に集める仕組みです。
中間サーバーは、手続きに必要な情報を、ほかの機関と照会し合うための窓口です。
住基ネットが運ぶのは、氏名や住所など、本人であることを示す情報です。中間サーバーが扱うのは、所得や世帯、福祉の情報など、手続きごとの情報です。
そして、マイナンバー利用事務系の端末と回線が厳しいのは、この層が、マイナンバーを含む、特定個人情報を扱うからです。
ほかの層と分けて、持ち出しや外部への接続を、強く制限するのが、一般的です。不便に感じても、理由があります。
現場でよくある誤解

現場でよくある誤解を、3つ挙げます。
一つ目。住基ネットと中間サーバーは、同じもの、という誤解。目的も、持っている情報も、運営の仕組みも違います。
二つ目。マイナンバーで、国が、すべての情報を一元管理している、という誤解。先ほどのとおり、情報は、もとの機関が持つ、分散管理です。
住民から聞かれたときは、情報は一か所に集めていません、必要なときだけ、符号を使ってやり取りしています、と説明できます。
三つ目。端末を増やしたいという依頼は、台数を足すだけで済む、という誤解。
マイナンバー利用事務系は、ほかの層と分かれていて、機器の追加や設定には、決まりと手続きがあります。依頼が来たら、まず、委託先と、日数を確かめてください。
異動してきたら最初に確かめること

では、異動してきたら、まず何を確かめればいいでしょうか。
一つ目。住基ネットと、中間サーバーが、庁内のどこで、どうつながっているかです。構成図で、線を目で追ってみてください。
自治体ごとに構成は違うので、自分の団体の図で確認するのが、一番確実です。
二つ目。それぞれの、運用と保守の委託先と、連絡先です。止まったとき、制度改正のとき、誰に連絡するのかを、先に整理しておきます。
三つ目。マイナンバー利用事務系の端末の一覧です。
何台あって、誰が使えるのか。増設や入れ替えのときの手順も、聞いておきます。
そして四つ目。国やJ-LISから届く、制度改正や改修の連絡を、誰が受け取っているのかです。連絡の受け口が決まっていないと、見落としの元になります。
理解度テスト
3問です。答えを選んで、「答え合わせ」を押してください。
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