電子申請と行政手続法編・第3回
電子申請は、いつ「届いた」のか
この動画は、順次公開します
ひとことで言うと
紙の申請は、役所の事務所に届いたときが、到達です。電子申請は、役所のコンピュータのファイルに、記録がされたときが、到達とされています。
異動してきたら、最初に確かめること
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解説(テキスト版)
はじめに

情シスには、こんな相談が届きます。締め切り日の夜11時に、電子申請が届いていた。期限内の申請として扱ってよいのか、と聞かれます。
あるいは、申請は金曜に出されたのに、職員が開いたのは月曜だった。標準処理期間の日数は、金曜から数えるのか、月曜から数えるのか、という相談です。
どちらも、電子申請が、いつ届いたことになるのか、という問題です。今日は、法律の条文をつなげて、考え方の筋道をお話しします。
一言で言うと

先に、一言でまとめておきます。紙の申請は、役所の事務所に届いたときが、到達です。電子申請は、役所のコンピュータのファイルに、記録がされたときが、到達とされています。
つまり、職員が開いたときや、ダウンロードしたときではない可能性があります。ただし、どの機械が、役所のコンピュータに当たるかは、法規担当に確認が必要です。
地図のどこか

マイナポータル編の第2回でお話しした、申請が庁内に届くまでの流れを、思い出してください。
住民が、ぴったりサービスで申請を送信すると、申請のデータは、いったん国の側で預かられます。そこから、庁内の職員が受け取ります。
今日の問題は、この流れの、どの時点が、法律上の到達なのか、ということです。職員が受け取る前も、数に入るのかが、ポイントです。
紙の申請の到達

まず、紙の場合です。行政手続法の第7条は、申請が事務所に到達したときは、遅滞なく審査を開始する、と定めています。
第6条の標準処理期間も、申請が事務所に到達してから、処分をするまでに、通常かかる期間、と書かれています。数え始めるのは、到達からです。
届出も同じです。第37条で、届出が事務所に到達したときに、出す側の義務が果たされたことになります。到達は、いくつもの場面の、出発点になっています。
電子申請の到達

次に、電子の場合です。デジタル行政推進法の第6条第1項は、書面などで行うと決められた申請等を、オンラインでも行えるとしています。
そして第3項は、こう定めています。オンラインで行われた申請等は、受ける行政機関等の使用に係る電子計算機に、備えられたファイルへの記録がされた時に、到達したものとみなす。
行政機関等には、地方公共団体の機関も含まれます。第3条第2号です。自治体が受ける申請も、この規定の対象になります。
結果を通知するときも、似た規定があります。相手が、オンラインで受ける旨を表示した場合は、相手の電子計算機のファイルに記録された時に、到達したものとみなされます。第7条です。
2つの条文をつなげて読む

この2つをつなげると、こう読めます。電子申請が、役所のコンピュータのファイルに記録された時に、到達したものとみなされる。
第2項で、オンラインの申請は、法令に定められた方法で行われたものとみなして、法令を適用する、とされています。ですから、行政手続法の到達も、その時点を指す、と読めます。
審査を始める義務も、標準処理期間の出発点も、記録された時から考える、という筋道です。ただし、これは条文を並べた読み方です。個別の手続は、法規担当に確認してください。
マイナポータルとぴったりサービスの場合

マイナポータルやぴったりサービスで出された申請は、どうでしょうか。申請のデータは、国の側のシステムに記録されたあと、職員が、ダウンロードして受け取ります。
職員がダウンロードする前でも、条文の文言からすると、記録された時点で、到達した扱いになる可能性があります。まだ誰も開いていない申請が、すでに届いていることになりえます。
論点は、国の側のシステムへの記録が、自分の団体が使う電子計算機への記録に当たるのか、という点です。私が調べた範囲では、これを明確に示した公的な資料は、確認できませんでした。
ですから、団体としての考え方を、法規担当や原課と決めておくことが大切です。決めたら、システムの記録や、職員向けの手引きにも、反映します。
場面1:期限と標準処理期間

場面を2つ考えます。一つ目は、期限のある手続です。締め切りが20日の手続で、20日の夜11時50分に、申請が記録されたとします。
記録された時が到達なら、期限内に届いた申請、と読めます。職員が開くのが、翌日の朝でも、変わりません。
基準になるのは、職員の画面に出た時刻ではなく、システムに記録された時刻、という考え方になります。ですから、記録される日時の項目を、はっきりさせておく必要があります。
標準処理期間も同じで、日数を数え始める日を、どの日時の項目にするのかを決めておきます。休日の扱いは、手続ごとに決まっているので、原課に確認します。
場面2:システム障害のとき

二つ目の場面は、システム障害です。住民は送信したと言うのに、役所のシステムには、記録が残っていない。こんなときは、どうなるのでしょうか。
条文の文言どおりなら、到達は、ファイルへの記録がされた時です。記録されていなければ、到達とは言えません。ですから、記録が残るかどうかが、出発点になります。
では、障害で送れなかった人を、期限に間に合わなかったとして扱うのか。この扱いは、手続の根拠になる法令や、条例、団体の方針で決まります。情シスだけで決めず、法規担当と原課に確認します。
情シスにできるのは、事前の準備です。障害のときに、住民へ知らせる方法と、送信や記録の履歴を調べる方法を、先に決めておきます。
自治体の条例の扱い

条例のほうも見ましょう。電子申請を認める条例には、国の法律と、ほとんど同じ書き方で、到達の規定を置いているものがあります。
いくつかの県や市の条例では、第3条第3項で、オンラインで行われた申請等は、受ける機関の使用に係る電子計算機に、備えられたファイルへの記録がされた時に、その機関に到達したものとみなす、と定めています。
ただし、すべての団体が、同じ書き方とは限りません。条例に規定がなく、規則や要綱で決めている団体も、ありえます。自分の団体の条例を確認します。
現場でよくある誤解

現場でよくある誤解を、3つ挙げます。
一つ目は、職員が開くまで、申請は届いていない、という誤解です。条文は、ファイルへの記録がされた時を、到達としています。開いた時ではありません。
二つ目は、住民の画面に、送信完了と出れば、必ず届いている、という誤解です。到達の基準は、役所側の記録です。記録が残っているかを、確かめられるようにしておきます。
三つ目は、国の法律に書いてあるから、条例は見なくていい、という誤解です。条例や規則で決めた手続には、条例の規定が関わります。自分の団体の条例を読みます。
異動してきたら最初に確かめること

では、異動してきたら、まず何を確かめればいいでしょうか。
一つ目は、団体の条例に、電子申請の到達の規定があるかです。あれば、その条番号を控えて、電子申請の仕様書にも、書き写しておきます。
二つ目は、システムが、どの日時を記録しているかです。申請を受信した日時、職員がダウンロードした日時、処理を始めた日時を、見分けられるようにします。
三つ目は、障害のときと、締め切りの日の扱いです。誰が判断して、住民にどう知らせるのかを、法規担当と原課と一緒に決めておきます。
理解度テスト
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