オープンデータ編・第2回
オープンデータの活用事例
ひとことで言うと
データを出すと、役所が自分で作らなくても、民間がサービスにしてくれます。そのためには、共通の形式で、きちんと更新し続けることが大切です。今日は、そのことを、事例で見ていきます。
異動してきたら、最初に確かめること
チェックは、このスマートフォンのブラウザに保存されます。
解説(テキスト版)
はじめに

情シスには、こんな相談が届きます。オープンデータを出しても、本当に使われるんですか、と聞かれる。
あるいは、幹部から、オープンデータで何か良いことがあったのか、説明してほしい、と言われる。
どちらも、実際の事例を知っていると、答えやすくなります。第2回は、オープンデータの活用事例をお話しします。
一言で言うと

先に、一言でまとめます。データを出すと、役所が自分で作らなくても、民間がサービスにしてくれます。
そのためには、共通の形式で、きちんと更新し続けることが大切です。今日は、そのことを、事例で見ていきます。
時刻表のはじまり

最初の事例は、アメリカのポートランドです。
ポートランドの交通局の職員は、車の道順は地図のサイトで調べられるのに、バスや電車の乗り換えは調べられないことに、不満を持っていました。
そこで、交通局が、時刻表のデータをグーグルに提供しました。2005年、グーグルの地図で、公共交通の経路が調べられるようになりました。
このときのデータの形式が、のちにGTFSという名前で、世界の共通の形式になりました。いまでは、世界中の交通機関が、この形式でデータを出しています。
日本のバス

日本でも、同じ流れがあります。
2017年に、国土交通省が、標準的なバス情報フォーマットを定めました。GTFSをもとに、日本に必要な項目を足した形式です。
この形式で、時刻表や停留所のデータを作ると、地図のアプリの経路検索に、バスを載せられます。大きなバス会社だけでなく、自治体のコミュニティバスでも、載せている例があります。
住民や観光客が、ふだん使っている地図のアプリで、コミュニティバスの時刻が分かる。役所がアプリを作らなくても、実現できたことです。
天気のデータ

もう一つ、身近な例があります。天気です。
アメリカでは、国の気象機関のデータが、無料で公開されています。多くの天気のアプリや、サービスが、そのデータを土台にしています。
国がデータを出し、民間がそれぞれの工夫で、使いやすい形にして届ける。オープンデータの、典型的な形です。
自治体のデータから生まれたアプリ

自治体のデータからも、サービスが生まれています。
たとえば、ゴミの日を知らせるアプリです。ある市民団体が、市のゴミの収集日のデータを使って、自分の地域のゴミの日が分かるアプリを作りました。
仕組みが公開されていたので、ほかの地域の人たちも、自分の町のデータを入れて、同じアプリを作りました。データの形がそろっていれば、一つのアイデアが、全国に広がります。
ほかにも、避難場所や、AEDの場所を、地図に表示するサービスなど、自治体のデータを使ったものは、たくさんあります。
国のデータで、自治体を比べる

もう一つ、国が公開しているデータを使った例を、紹介します。私たち、合同会社Ponsが作っている、日本ごみ処理ダッシュボードです。
環境省は、全国の市区町村のごみ処理の状況を、一般廃棄物処理事業実態調査として、公開しています。このデータをもとに、ごみの量、リサイクル率、処理にかかる費用などを、地図とランキングで比べられるようにしました。
自分の市のごみの量は、多いのか、少ないのか。処理の費用は、同じくらいの規模の市と比べて、どうなのか。データが公開されていれば、こうした比較を、誰でも見られるようになります。
オープンデータを束ねる

もう一つ、オープンデータを束ねて、使いやすくしている例です。OpenPOI APIという、全国の施設を検索できるサービスです。
自治体などが公開している、食品の営業許可のデータや、国の鉄道の駅のデータ、世界の地図のオープンデータを、一つにまとめています。飲食店や薬局、公園など、300万件以上の施設を、プログラムから検索できます。
食品の営業許可の一覧は、国の標準データセットにも入っているデータです。一つ一つの自治体が、形をそろえて出していれば、それを束ねて、全国のサービスにできるのです。
事例に共通すること

これらの事例には、共通することがあります。
一つ目は、共通の形式です。形式がそろっていると、一度作ったサービスを、ほかの地域でも使えます。
二つ目は、更新が続いていることです。時刻表が古いままなら、誰も使いません。
三つ目は、自由に使えることです。商用でも使ってよいからこそ、会社が本気でサービスを作ります。
役所にとっての効果

役所にとっての効果も、見ておきます。
役所が自分でアプリを作ると、作る費用も、直し続ける費用も、かかります。データを出して、民間に任せれば、その費用はかかりません。
住民は、ふだん使っているアプリで情報を得られます。役所への問い合わせも、減ることが期待できます。
もちろん、役所が自分で作るべきものもあります。でも、まずデータを出す、という選択肢を、考えてみてください。
現場でよくある誤解

現場でよくある誤解を、3つ挙げます。
一つ目。オープンデータの効果は、ダウンロードの数で測ればいい、という誤解です。地図のアプリに載ったバスのように、使われ方は、ダウンロードの数では見えません。
二つ目。活用してもらうには、役所がアプリを作らなければならない、という誤解です。データを出せば、民間が作ってくれることがあります。
三つ目。一度出せば、あとは放っておいてもいい、という誤解です。更新されないデータは、使われなくなります。
異動してきたら最初に確かめること

では、異動してきたら、まず何を確かめればいいでしょうか。
一つ目。自分の団体のデータが、どこかで使われていないかです。データの名前や、団体の名前で検索すると、思わぬ使われ方が見つかることがあります。
二つ目。コミュニティバスなどの、時刻表のデータです。標準的なバス情報フォーマットで、出しているかを確かめます。
三つ目。よくある問い合わせのうち、データで答えられるものはないか、です。それが、次に出すデータの候補になります。
理解度テスト
3問です。答えを選んで、「答え合わせ」を押してください。
結果は、このブラウザに保存されます。成績ページで「ふっかつのじゅもん」を作ると、別の端末でも続きから使えます。