オープンデータ編・第6回
オープンデータにすべきデータ5選
ひとことで言うと
お金の使い道、まちのルール、土地、議会、そして仕事の一覧。役所の中身が見えるデータを、出してほしいのです。
異動してきたら、最初に確かめること
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解説(テキスト版)
はじめに

情シスには、こんな相談が届きます。標準データセットは、だいたい出し終わった。次は、何を出せばいいですか、と聞かれる。
あるいは、オープンデータの数を増やしてほしい、と言われたけれど、どれから手を付ければいいのか、分からない。
第5回は、標準データセットのほかに、ぜひオープンデータにしてほしいデータを、5つ紹介します。
一言で言うと

先に、一言でまとめます。お金の使い道、まちのルール、土地、議会、そして仕事の一覧。役所の中身が見えるデータを、出してほしいのです。
今日紹介する5つのうち、いくつかは、国の標準データセットには入っていません。それでも、出す価値が大きいものです。
選ぶときの目安

5つを紹介する前に、出すデータを選ぶときの目安を、お話しします。
一つ目は、問い合わせが多いものです。二つ目は、ほかの団体と比べられるものです。三つ目は、すでに庁内で、表になっているものです。
この3つに当てはまるほど、出したときの効果が大きく、出す手間は小さくなります。
予算・決算

1つ目は、予算と決算のデータです。
多くの団体では、予算書や決算書を、PDFで公開しています。でも、PDFでは、数字を使って比べたり、グラフにしたりするのが、大変です。
予算と決算を、CSVで出しておけば、住民や研究者が、何にいくら使っているのかを、自分で集計できます。ほかの団体と比べることもできます。
第2回で紹介した、ごみ処理の比較も、同じ考え方です。環境省が、市区町村ごとの処理の費用を、データで出しているから、比べられるのです。予算や決算がデータで出ていれば、ほかの分野でも、同じような比較ができるようになります。
税金の使い道を、目に見える形にするサイトを、市民団体などが作っている例もあります。透明性の、いちばん分かりやすいデータです。
都市計画情報

2つ目は、都市計画の情報です。
用途地域や、建物の高さの制限など、土地にどんなルールがかかっているかの情報です。家を建てる人や、不動産の会社から、窓口や電話での問い合わせが、とても多いものです。
地図のデータとして出しておけば、問い合わせる前に、自分で調べてもらえます。窓口の負担が、減ることが期待できます。
国の標準データセットにも、都市計画の基礎調査の情報が、入っています。
地番参考図

3つ目は、地番の参考図です。
土地の場所は、住所ではなく、地番で表されます。法務局の地図のデータは、2023年から無料で公開されていますが、地番の位置が、すべての土地で正確に整っているわけではありません。
一方で、市町村は、固定資産税を課税するために、どこにどの地番があるのかを、独自に地図に落としています。これが、地番の参考図です。課税のために作っているので、市内の土地を、ひととおり網羅していることが多いのです。
地番から場所を探したい、という問い合わせは、たくさんあります。すでに、地図のデータとして公開している市もあります。
気をつけたいのは、個人情報の心配です。地番が分かれば、登記の情報と照らし合わせて、土地の持ち主を調べられます。そこで、公開している市の中には、ほかの情報と照らし合わせて、個人を特定することを禁じる、利用の条件を付けているところもあります。
地番図のデータをめぐっては、公開を求める裁判もありました。地番や土地の区画は、登記で公にされる情報で、税の秘密には当たらない、という判断が示された例があります。出すときは、課税のための参考の図であり、正式なものは法務局で確かめてほしい、と書いておきます。
議員名簿

4つ目は、議員の名簿です。
議員の名前、会派、所属する委員会、任期などです。議会のホームページには載っていても、表のデータとして出している団体は、多くありません。
データになっていれば、議会の情報を整理するサイトや、選挙の情報のサービスなどで、使ってもらえます。
国の標準データセットには入っていませんが、項目が少なく、作りやすいデータです。議会の事務局と相談してみてください。
事務事業一覧

5つ目は、事務事業の一覧です。
役所が行っている事業の、名前、担当の課、目的、費用などの一覧です。行政評価で、すでに一覧を作っている団体も多いはずです。
予算のデータと、事業の一覧が、つながっていると、どの事業に、いくら使っているのかが、見えるようになります。
使い道も、広がっています。たとえば、自治体どうしで、制度や事業を比べるサービスです。子育ての支援が、隣の市とどう違うのかが、一目で分かるようになります。
もう一つは、チャットボットです。住民が、こんな支援はありますか、と聞くと、事業の一覧をもとに、AIが答えます。一覧がデータになっていれば、こうしたサービスに、そのまま使えます。
庁内でも、ほかの課の事業を知るのに、役立ちます。第1回でお話しした、自分たちも利用者、の良い例です。
5つに共通すること

5つのデータに、共通することがあります。
どれも、役所の中では、すでに表や図になっていることが多いデータです。新しく調べ直す必要は、あまりありません。
個人情報が入っていないかを確かめれば、システムや手元の表から、そのまま出せるものばかりです。
現場でよくある誤解

現場でよくある誤解を、3つ挙げます。
一つ目。標準データセットにないものは、出さなくていい、という誤解です。標準は、最低限の手本です。役所の中身が見えるデータは、積極的に出します。
二つ目。予算や決算は、PDFで公開しているから十分だ、という誤解です。数字を使ってもらうには、CSVで出します。
三つ目。地番参考図は、正式な図ではないから出せない、という誤解です。参考であることを明記すれば、問い合わせを減らす役に立ちます。
異動してきたら最初に確かめること

では、異動してきたら、まず何を確かめればいいでしょうか。
一つ目。今日の5つのうち、自分の団体が、データとして出しているのはどれかです。
二つ目。出していないものについて、庁内のどの課が、元になる表を持っているかです。財政、都市計画、税、議会事務局、行政評価の担当などです。
三つ目。よくある問い合わせの一覧です。窓口や電話の問い合わせで多いものが、次に出すデータの候補になります。
理解度テスト
3問です。答えを選んで、「答え合わせ」を押してください。
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