システム調達編・第6回
導入から本番まで
ひとことで言うと
導入は、事業者に任せきりにするものではありません。発注した側も、一緒に進めるものです。
異動してきたら、最初に確かめること
チェックは、このスマートフォンのブラウザに保存されます。
解説(テキスト版)
はじめに

情シスには、こんな相談が届きます。契約が終わったので、あとは事業者に任せておけばいいですよね、と聞かれる。
あるいは、本番の前の日になって、移したデータの件数が合わない、と連絡が来る。
どちらも、導入の進め方を知っていると、防げます。第6回は、契約してから、本番を迎えるまでの話です。
一言で言うと

先に、一言でまとめます。導入は、事業者に任せきりにするものではありません。発注した側も、一緒に進めるものです。
業務を知っているのは、こちらです。決めることも、確かめることも、こちらにしかできないことが、たくさんあります。
流れのどこか

調達の流れの中では、入札やプロポーザルで事業者が決まったあとの、導入の段階です。
ここがうまくいくかどうかで、このあと何年も続く運用が、楽になるか、苦しくなるかが決まります。
お客さんではなく、ともに作る仲間

導入の進め方に入る前に、いちばん大事な心がまえをお話しします。役所はお客さんだ、という意識を、捨てることです。
契約したのだから、あとは事業者がやるもの。お金を払っているのだから、言ったとおりに作ってもらう。こう考えていると、決めるべきことが決まらず、確かめるべきことも確かめないまま、本番を迎えてしまいます。
システムは、発注した側と事業者が、一緒に作り上げるものです。業務を知っているのは、こちら。技術を知っているのは、事業者です。どちらが欠けても、良いシステムはできません。
ですから、ともに作る仲間として、これは自分たちのシステムだ、というオーナーシップを持って取り組みます。
逆に、必要以上に強い言い方をしたり、無理な日程を押し付けたりして、事業者にプレッシャーをかけても、良い結果は生まれません。問題が起きても、報告が遅れたり、言い出しにくくなったりします。
困ったことを、早めに、正直に言い合える関係を作る。それが、本番を無事に迎える、いちばんの近道です。
キックオフ

導入は、キックオフの打ち合わせから始まります。
ここで、体制を決めます。担当課、情シス、事業者の、それぞれの窓口は誰か。誰が、何を決めるのか。
日程も確かめます。いつまでに何を決めて、いつテストをして、いつ本番を迎えるのか。
そして、課題と、決まったことを記録する場所を決めます。打ち合わせのたびに、議事録と一緒に、残していきます。
設計の確認

次は、設計の確認です。事業者が、仕様書をもとに、画面や帳票、設定の内容をまとめてきます。
それを、担当課と一緒に確かめます。実際の業務で、本当にこの流れで使えるのか、一つずつ見ていきます。
ここで決めたことを、あとから変えると、手戻りが大きくなります。分からないところは、この段階で、遠慮せずに聞きます。
受入テスト

システムができてきたら、受入テストです。発注した側が、仕様のとおりに動くかを確かめるテストです。
事業者も、自分たちでテストをします。でも、受入テストは、こちらが行います。業務を知っているのは、こちらだからです。
テストは、業務の流れに沿って行います。申請を受け付けて、審査して、通知を出すまで、実際の仕事と同じ順番で試します。
4月の繁忙期や、年度末の処理など、ふだんは起きない場面も、忘れずに試します。
データの移行

並行して進めるのが、データの移行です。
移行は、1回で決めずに、本番の前に、リハーサルを何回か行います。リハーサルのたびに、件数や金額が、今のシステムと合っているかを、突き合わせます。
合わないときは、どのデータが、なぜ合わないのかを調べます。古いシステムに残っていた、入力の誤りが見つかることもあります。
本番の移行で、何をもって成功とするのか。確かめる人と、判断する人を、あらかじめ決めておきます。
研修と手順書

使う職員への研修も、大事な準備です。
研修は、本番の直前ではなく、少し余裕をもって行います。実際の業務の例を使って、手を動かしてもらうと、覚えやすくなります。
あわせて、職員向けの手順書を用意します。事業者の操作説明書とは別に、自分たちの業務の言葉で書いたものが、あると助かります。
本番の切り替え

最後は、本番の切り替えです。
切り替えの日は、窓口が混まない日を選びます。連休の前などに行う団体が多くあります。
そして、うまくいかなかったときに、元のシステムに戻す手順を決めておきます。切り戻し、と呼びます。いつまでに判断するのか、誰が判断するのかも、決めておきます。
本番が始まってからしばらくは、問い合わせが増えます。事業者と、すぐに連絡が取れる体制にしておきます。
現場でよくある誤解

現場でよくある誤解を、3つ挙げます。
一つ目。テストは、事業者がやってくれる、という誤解です。事業者のテストとは別に、受入テストは、発注した側が行います。
二つ目。データの移行は、1回でうまくいく、という誤解です。リハーサルを重ねて、件数と金額を突き合わせます。
三つ目。研修は、本番の前の日にやればいい、という誤解です。余裕をもって行い、手順書も用意します。
異動してきたら最初に確かめること

では、導入の担当になったら、まず何を確かめればいいでしょうか。
一つ目。課題と、決まったことの記録の場所です。どこに、誰が書くのかを、最初の打ち合わせで決めます。
二つ目。受入テストで、何を確かめるのかです。担当課と一緒に、業務の流れと、ふだん起きない場面を書き出します。
三つ目。切り戻しの手順です。うまくいかなかったときに、誰が、いつまでに判断するのかを、決めておきます。
理解度テスト
3問です。答えを選んで、「答え合わせ」を押してください。
結果は、このブラウザに保存されます。成績ページで「ふっかつのじゅもん」を作ると、別の端末でも続きから使えます。