システム調達編・第7回
運用中の課題を管理する
ひとことで言うと
運用の中で出てくる課題は、次の更新の仕様書の、いちばんの材料です。記録しておけば、次の更新で、同じ不満を繰り返さずに済みます。
異動してきたら、最初に確かめること
チェックは、このスマートフォンのブラウザに保存されます。
解説(テキスト版)
はじめに

情シスには、こんな相談が届きます。毎年、同じところで、職員から不満が出る、と言われる。
あるいは、次の更新の準備を始めたけれど、今のシステムの、何を直したいのか、誰も覚えていない。
どちらも、運用の中で出てきた課題を、記録していないことが原因です。第7回は、運用中の課題の管理についてお話しします。
一言で言うと

先に、一言でまとめます。運用の中で出てくる課題は、次の更新の仕様書の、いちばんの材料です。
記録しておけば、次の更新で、同じ不満を繰り返さずに済みます。
流れのどこか

調達の流れの中では、運用と、課題の抽出の段階です。そして、次の更新につながる、輪の最後の部分です。
システムは、5年ほど使うことが多いので、この段階が、いちばん長く続きます。
課題はどこから出てくるか

課題は、いろいろなところから出てきます。
職員からの問い合わせや、不満の声。障害や、ひやりとした出来事。法律や制度の改正に、合わせる必要が出てきたとき。
そして、住民からの問い合わせです。手続きが分かりにくい、何度も窓口に来なければならない、といった声も、課題の一つです。
こうした声は、出たときに対応して、終わりにしがちです。でも、記録しなければ、次には残りません。
課題の台帳

そこで、課題の台帳を作ります。表計算のファイルでも、かまいません。
書く項目は、いつ、誰から、どんな課題が出たのか。今は、どう回避しているのか。そして、どのくらい困っているのか、の優先度です。
誰が受け付けても、同じ台帳に書くことが大事です。担当者の頭の中や、メールの中にだけあると、異動とともに消えてしまいます。
定期的に見直す

台帳は、書いて終わりではありません。定期的に見直します。
事業者との定例の打ち合わせで、台帳を一緒に見るのが、一つの方法です。月に1回や、四半期に1回など、団体によって違います。
そして、年に1回は、担当課と一緒に、台帳全体を棚卸しします。もう解決したもの、まだ残っているもの、新しく増えたものを、整理します。
どう直すか

課題ごとに、どう対応するのかを決めます。道は、大きく3つあります。
一つ目は、今すぐ、システムを改修して直すことです。費用がかかるので、予算と相談します。
二つ目は、運用で回避することです。手順を変えたり、注意書きを足したりして、システムはそのままにします。
三つ目は、次の更新で直すことです。今は直さずに、次の仕様書に必ず入れる、と台帳に書いておきます。
更新につなげる

次の更新の準備が始まったら、台帳がそのまま、材料になります。
次の更新で直す、と書いた課題は、仕様書の要件の候補になります。運用で回避してきた課題も、本当にこのままでいいのか、見直します。
第1回でお話しした、事実を詳細に把握する、とは、まさにこのことです。数字と記録があれば、担当課の、このままでいい、にも、根拠を持って向き合えます。
運用編とのつながり

この話は、運用編とも、つながっています。
運用編の第12回では、保守の契約と、機器の更新の時期をお話ししました。第14回では、委託先の管理と、問い合わせの窓口をお話ししました。
問い合わせの窓口に届いた声を、課題の台帳に流し込む。保守の契約の更新の時期に、台帳を見直す。こうして、運用と調達がつながります。
現場でよくある誤解

現場でよくある誤解を、3つ挙げます。
一つ目。課題は、出たときに直せばいい、という誤解です。直したことも、直さなかったことも、記録に残します。次の更新の材料になります。
二つ目。記録は、事業者が持っている、という誤解です。事業者の記録は、事業者が変われば手に入らないこともあります。自分たちで持ちます。
三つ目。職員の不満は、担当課の問題だ、という誤解です。システムの使い方の問題なら、情シスも一緒に考えます。
異動してきたら最初に確かめること

では、異動してきたら、まず何を確かめればいいでしょうか。
一つ目。主なシステムに、課題の台帳があるかどうかです。なければ、問い合わせの記録や、定例の議事録から、作り始めます。
二つ目。事業者との、定例の打ち合わせの場です。いつ、誰が出ていて、何を話しているのかを確かめます。
三つ目。次の更新の時期です。第0回でお話しした、契約の期限の一覧と、台帳を、並べて見られるようにしておきます。
理解度テスト
3問です。答えを選んで、「答え合わせ」を押してください。
結果は、このブラウザに保存されます。成績ページで「ふっかつのじゅもん」を作ると、別の端末でも続きから使えます。